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日本のジャーナリストは民主主義思想が欠落している

日本のジャーナリストは民主主義思想が欠落している


 最近とても強く感じるのは日本のジャーナリストには民主主義思想が欠落していることである。日本は明治になった時に大日本帝国憲法を制定する。日本は帝国主義国家であったのだ。清国と戦争をして勝ち、台湾を植民地にした。日ロ戦争にも勝ち東清鉄道の一部である南満洲鉄道を獲得するなど満洲における権益を拡大した。


 5・15事件、2・26事件の訓示クーデターによって政党政治に向かっていた日本は軍国主義国家に進んだ。太平洋戦争で敗戦した日本は米国の圧力によって憲法は大日本帝国憲法から日本国憲法に変わった。日本は軍国主義から議会制民主主義になった。
 このことは中学の社会科で習う。米国が統治していた沖縄で育った私は沖縄が米国の植民地なのかどうかに関心があった。米国の政治、沖縄の政治、そして日本の政治については教科書で習ったことを基本にして考えた。選挙による国民主権、三権分立の国家体制である議会制民主主義が最高の民主主義であると思っている。最近強く感じるのはジャーナリストには中学の時に教科書で習った議会制民主主義思想が欠落していることである。


 ジャーナリストの田原総一朗氏は、「新しい戦前」という言葉が、多くの日本国民の間で危機感を持って語られていることに関心を寄せている。田原氏は1937年の日中戦争から、41年の真珠湾攻撃で始まる太平洋戦争までの4年間について述べた後に戦後の日米安全保障について述べている。
 日本が「新しい戦前」になることは絶対にない。戦前になるということは議会制民主主義が崩壊し軍部が支配する日本になることだ。あり得ないことである。ところが田原氏は戦前の日本と戦後の日本の国家体制が違うことを問題していない。戦前と戦後の政治体制について中学の社会の知識があれば「新しい戦前」になることは絶対にないことが分かる。田原氏は中学社会の知識が不足している。
 戦後の日本は国民の選挙で選ばれた政治家が国の政治を行っている。戦前のような政治をするはずがない。田原氏は、日本は大日本帝国憲法が示す通りに帝国主義国家であったことを認識していない。アジアは歴史的に欧米の植民地獲得競争の標的となってきた。日本もその標的にされたと述べて、植民地にされたくないから欧米列強に対抗できる軍事強国にしたと述べているそれは違う。教科書では日本はイギリスなどの欧州の国々と対等になるために帝国主義国家になり、アジア大陸に進出して植民地を獲得するのを目的とした。その為に軍隊を強くしたのだ。
 ところが田原氏は植民地にされないために軍隊を強くしたというのである。植民地にされないためではなくアジアを植民地にするために軍隊を強くしたというのが真実だ。1940年7月、日本は 「大東亜共栄圏」を発表した。アジアを欧米の植民地支配から日本の植民地にするという構想であった。その狙いがあって日本軍はアジアに進出していったのである。だから、米欧と植民地の奪い合いで戦争になった。田原氏は日本が帝国主義だったことを隠して、1937年の日中戦争から、41年の真珠湾攻撃で始まる太平洋戦争までの4年間について述べた後に、米国に負けた日本は安全保障を根幹から米国に委ねることにしたと説明する。


田原氏と同じく多くのジャーナリストが日米安保は米国有利の不平等条約であるという。田原氏は、経済が悪化し、世界の警察の役割の放棄を表明した米国は日本に協力を要請し、応じないと日米同盟が持続できないと日本に迫っているという。日米が議会制民主主義国家であることを念頭にないから「重大な分岐点である」と考えるのである。
ウクライナ戦争で民主主義国家のウクライナ支援で見られたように民主主義国家の連帯は強い。日米同盟は強く、ずっと続く。そして、沖縄などの米軍基地は縮小し、その代わり自衛隊を強化していく。この流れはずっと前から続いている。沖縄では米軍基地は縮小し、自衛隊基地を拡大している。米軍基地は10年前より10%以上縮小している。海兵隊4000人はグアムに移動することが決まっている。日本の軍事力を強化し、米軍の負担をというのが日米政府の合意である。


日本は安倍首相の時に安保法制を成立させた。そのことによって国外で米軍、インド軍などとの共同訓練がてきるようになった。そして、憲法改正で自衛隊は軍隊になるだろう。日本は今まで以上にアジアの民主主義に貢献できる状態になってきた。
ジャーナリストは自衛隊が軍隊になれば戦前の軍隊と重ねて日本は戦争する国になったと非難するだろう。しかし、帝国主義国家の軍隊と民主主義国家の軍隊は本質的に違う。民主主義の軍隊は国民の選挙で選ばれた政治家が支配し、民主主義の平和維持のために働く。このことがウクライナ戦争ではっきりした。


ウクライナ戦争はプーチン独裁国家ロシアと民主主義国家ウクライナの戦争である。しかし、多くのジャーナリストは独裁と民主主義の戦いとは見ていない。ウクライナ戦争はNATOの進出を食い止めようとしているロシアとの戦争であるとする。だから米国、NATOはウクライナに武器支援しているという。兵士を送ればプーチンは核攻撃をするかもしれないから兵士は送らないで武器を送っているというのである。ジャーナリストにはウクライナを応援する気はない。プーチンの独裁支配を批判する気もない。日本のジャーナリストに民主主義思想がないのは確実である。
ジャーナリストにあるのは民主主義思想ではなく反権力思想である。
反権力思想で政府批判に埋没しているのが多くのジャーナリストである。反権力思想にとってまずいのが国民が選んだ政治家が政治をやる議会制民主主義である。政府批判は国民批判になってしまう。政府批判をするには国民と政府を切り離す必要がある。その方法として日本が議会制民主主義であることを隠し、政府があたかも国民のためではなく自民党の利益になるための存在であるように見せることである。そして、ジャーナリストは国民の味方であるように見せるのだ。
反権力、非民主主義をジャーナリストに次第に感じるようになったが、ウクライナ戦争でますます感じるようになった。